「小説なんか読むよりビジネス書やノウハウ本を読んだ方が得じゃない?」
あなたは、こういう声をこれまで耳にしたり思ったことはないだろうか。
小説本はビジネス本や実用書のようにすぐに役に立つノウハウ本などなく、金銭には結びつきにくい。
巷に溢れたこうした見方でいえば、小説など読んでもすぐには役には立たないだろう。
かといって、小説は滅びていない。
小説はこれでも一番古い表現媒体と言って過言ではないにも関わらず、いまだに残り、おそらくはこの先も残るであろう。
では、小説を読んでこそ得られる価値とは一体なんであろうか?
今回はこれにスポットを当てて、
年間100冊以上、これまでに2000作品以上を読破してきた葉暮が、自身の見解を交えて答えたい。
【結論】小説を読むメリットとはズバリ、心を耕すことにある
ズバリ言う。小説を読むメリットとは、
心の土壌を肥やせることにこそあると考える。
心の土壌を肥やす? よくわらんと思われた方にさらに述べるとするならば、
小説を読んで得られることの主な能力とは以下の3つだ。
- 感受性の向上
- 共感力や想像力の向上
- 新たな視座の獲得
では、一つ一つ具体的に見ていこう。
感受性の向上
さまざまな小説を読んでいるうちに、
読前読後の自分で、これまで見ていたものに対する観念が変えられてしまった!という本に出会うことがある。
それこそが、小説として力のある優れた作品なのかもしれない。
小説の登場人物に自らを仮託することでさまざまな人物と出会い、交流し、また経験する。
そっくりそのままを経験できるわけでは、もちろんない。
たがしかし、人間の持つ想像力というのは無限大の広がりを有するものと私は考える。
小説は他の映像や音楽とは異なり、文字だけ(2次元)の情報から読者の想像によって立ち上げられる世界である。
いわば、読者の想像力に頼る部分が大きい媒体なのだ。
だからこそ、想像力を要する小説を読むことで鍛えられるのだ。
共感力や想像力の向上
まず小説を読むにあたって、主人公に共感しずらい作品を読むことは難しかったりする。
だが、自分とはまったく異なる人物の行動や思考を知ることができる。
人の(擬人化された物も含める)登場しない小説はありえないのだから、どうしても人の思考(ひいては作者の思想)を嫌がうえにも感じるものだ。
これが、共感力を培う礎となるのあろう。
これは小説に限らず、読書全般に言えることかも知れないが、自分と異なる人物と仮想の深い対話ができる最も古典的な媒体であるように私は思う。
また、小説は物語でもある。
想像を喚起させない物語は成り立たないし、前項でも詳述したが、文字だけの表現媒体である小説は想像力を他の媒体よりも要求する。
したがって、小説を読むことによって想像力は自然と養われていく。
新たな視座の獲得
小説を読んでいると、現実世界と同様、いろいろな人物が登場する。
気に入る人物、気に入らない人物、気になる人物……いろいろだろう。
読者は登場人物に自らを仮託することによって、物語の世界に入っていくわけだが、
1人称であれば主人公の心象風景、3人称であれば他の登場人物も含めた複数人の心情が描かれることもある。またカメラのような筆者の視点というもの存在する。
小説というののは、読むうちにそれに関わるいろいろな視点(物語を鳥瞰するような、あらゆるものが見える神の視点すら存在する)を知ることになる。
したがって、物事を多角的に見られるようになるのは自然なことだろう。
まとめ
まとめると、小説を読むことでもたらされる主なメリットは下記の3つである。
- 感受性の向上
- 共感力や想像力の向上
- 新たな視座の獲得
ついでに、
これは筆者の考えであるが、小説はビジネス本に代表される実用書のような分かりやすいメリットもデメリットもないと思う。
小説が読者に与えるものは、得をするかといった狭小な物ではなく、もっと観念に関わることだったりする。
あなたの感性に触れるかどうかであり、
さらに言えば、
あなたの価値観を揺ぶったかどうかだ。
それに、人生は一度しかないが、本を読めば疑似体験できる人生は数知れない。
想像力のない人間が増えているといわれる昨今のこの世の中に、「小説」という媒体だからできることがまだまだあるように思うし、そのことを私は信じてやまない。
筆者:葉暮
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ご機嫌よう。
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